愛というもの~哀しみの中で~
大吾がゴロっと私の方に向き直ると更にドキドキした。

「こうやって一緒にゴロゴロするの初めてだな。茉莉、震えてないけど怖くない?」

少し心配そうな顔をして私の頬を手の甲でなぞる。

「はぁー、口から火を吐きそうなくらいドキドキしてる。心臓が止まったらどうしよう…」

本気で私は心臓が止まるのではと思っていたのにそれを聞いた大吾は笑い出した。

「ハハッ、前も同じ様なこと言ってた。大丈夫、この位で人間は死なないし、もっとドキドキする事しても止まることはないよ。」

これ以上ドキドキする事って…考えるといつもは嫌悪感しか抱かなかったのに今は恥ずかしさと照れの方が強くて顔が熱くなった。

「茉莉の顔が赤くなった。ヤバいな…」

きっといろいろと我慢させてるんだろうなって思うと胸が苦しくなり一気に涙が溢れてくる。
私も大吾の方を向いた。

「ごめん、我慢させてごめん…私のワガママで引き留めてごめん…もう、他の人のところに行ってもいいよ。きっと私じゃ大吾を幸せにはできない。」
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