幼なじみの不器用な愛情
華はそのお茶を手にとり少し見つめる。
「華、これ。口付けてないから。」
そう言って隆弘が自分用に買っていたお茶を渡した。
「こっちでいいだろ?」
高橋が険しい表情で隆弘を見る。
その表情に負けないほど険しい表情で隆弘が高橋の方を見た。
「お前、華の口にするものに口付けた?」
「え?」
隆弘が高橋を見る。
高橋はふと自分の行動を振り返った。
「あっ」
さっき、華のかき氷を一口食べた。
その表情に隆弘は確信した。
座っている華の正面にしゃがみお茶のキャップを開けて華に渡す。
「華、今日薬は?」
隆弘の言葉に華が首を横に振る。
隆弘は華の浴衣の袖をまくり上げた。
「おいっ。」
高橋が隆弘の手をつかむ。
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