幼なじみの不器用な愛情
「お待たせ。ごめんね。」
華の支度が済み大きな荷物を持ち華が玄関に来た。
「持つよ。」
隆弘が華の荷物を預かる。
「ありがとう」
そう言って微笑む華の笑顔すらぎこちない。
隆弘は華から預かった荷物を一度その場に置き、「一回おいで」と華に手を伸ばした。
華は何も言わずに隆弘の伸ばした手の方へ向かう。

隆弘は華の体を抱きしめた。

5年ぶりに地元へ帰る緊張。
祖母と暮らしていた家の変化を見る緊張。
突然辞めたカフェへ行く緊張。

「大丈夫。一緒にいる。」
「・・・うん」
隆弘の胸の中、華は目を閉じて深呼吸する。
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