幼なじみの不器用な愛情
隆弘が気づいて寝室からリビングへ向かうとソファで体を小さく小さく丸めて眠る華がいることもある。

その姿を見ると、華が姿を消したころ、リビングの真ん中で毛布にくるまり眠っていた華を思い出す。

華が過去に引っ張られているようなそんな気がしていた。

「華。」
隆弘が華に声をかけると華はうっすらと目を開けた。
「少しでも飲めるか?」
隆弘は買ってきたイオン飲料の蓋を開けて華の体を起こすと少し飲ませる。そして自分の車から持ってきた薄手のパーカーを華に着せた。
体の大きな隆弘の服は華のワンピース状態になる。華は自分の手もすっぽりと袖の中に入れて体を小さくした。
「休憩!」
と隆弘は思わず華の体を抱きしめて一緒にベッドに横になる。

休憩と言ったのは口実で、本当は体を小さくしてベッドに華を一人で寝かせる姿を見たくなかった。
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