幼なじみの不器用な愛情
続編~命を繋ぐ~
「ほら」
ソファに座る隆弘に華があるものを渡す。
「どれ?これってどういう意味だ?」
「一本線が検査終了、二本線が陽性。」
華が隆弘に見せたのは妊娠検査薬だ。華も自分の妊娠をちょうど結婚式の前日に知ったばかりだった。
「すごいな・・・。」
「うん。」
二人は昨年の秋に入籍をしてからいつ子供を授かってもいいと思っていた。でもなかなか授からず、華の体調のこともあり、そろそろ専門医に相談しようかと話しているところだった。
隆弘はじっと妊娠検査薬を見つめている。
「病院、行かないとな。」
「うん」
「てか座れ。立つな。」
隆弘は華の手を引いて自分の横に座らせた。
「って、昨日お前酒飲んでなかったか?」
「飲んでないよ。全部隆弘が飲んでくれたでしょ?」
「そっか・・・。」
隆弘はお酒に強い。結婚式でお酒を飲むことがあるかもしれないからと試しにした妊娠検査薬で陽性が出た華は、隆弘が心配して結婚式を中止にするといいかねないと思い、結果を黙っていた。
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