いつも、ずっと。
「友也大丈夫?ちゃんと靴はかんばよ。眠たかとは分かるけど自分の部屋に着くまでは我慢して。はい行くよ、しっかり立って!」

なんだかんだ明日美の言いなりになりながら、自分の家に連れ帰られた。

「悪かったな……明日美……。俺のために……。もう……」

「頭痛かとやろ?少し眠ったほうがよかかも。明日休みやし、ゆっくり休めばよかよ。お水は……。ちょっと冷蔵庫みせてもらうばい」

明日美の声がだんだん遠ざかっていく。

ここは俺の部屋なんだし、もう寝ていいんだよな……。

「ああもう!そいじゃここでも風邪引くって友也。ほら一回起き上がらんね。ちゃんと布団かけんばダメさ。ほらほら、友也ってば」

なんだ、うるさいな。

グイグイと押しやられる感覚に仕方なく体を起こす。

明日美がまだそばにいてくれたことに安堵し、掛け布団を引っ張って体に掛けた。



『ねえ友也、目を瞑って』

『こうか?』

『私がよかって言うまで目ば開けたらダメばい』



何を企んでいるんだ?明日美。

大人しく言われるがままに目を閉じて、何が起こるのか待ってみた。

……ん?

唇に一瞬だけ感じた熱。

目を閉じてるから真っ暗で、当然明日美の顔も見えない。

これじゃまるであの時と逆だな。

中学の修学旅行で、俺が明日美にキスしたあの時と。



『もういいか?』

『まだダメ』



もう一度、今度のキスはさっきよりも少し長かった。

明日美の唇が温かくて気持ちいい。



『もっとして、明日美』



返事の代わりに優しく触れるだけのキスが何度も何度も繰り返された。

いつ終わるのか。

どうか終わらないで。

いつまでも……。

ただ黙ってキスを受け続けていたけど、触れるだけじゃ物足りなくなってきた。

明日美の柔らかな唇に舌でそっと触れてみる。

その途端、離れていった唇。

思わず目を開けそうになったが、まだ開けていいとは言われていない。



『ごめん友也。私もう……さよなら』



明日美がいなくなる。

どこかへ行ってしまう。

このまま永遠に会えなくなってしまうんじゃないかと、思った。

「明日美……明日美、明日美行くなっ」

咄嗟に手首を掴み、どこかへ行こうとしていた明日美を引き留めた。

バランスを崩した明日美がベッドに倒れ込んできた。

逃がさないようにその体を抱き締める。

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