いつも、ずっと。
「お前もそのうち俺らの義理の息子になる予定じゃなかとか……。なあ、友也」



え、それって!



「結婚、認めてくれるとですか?」



「かっ勘違いすんな!前も言うた通り二人の気持ち次第ぞ。今の明日美がどがん状態か分かっとるとか、友也」



今の明日美の状態、か。

俺に対する信用はゼロに等しい。

いや、もしかしたらマイナスだったりして。

一刻も早く誤解を解きたい。

簡単には許してもらえないだろうけど、謝って自分の気持ちを伝えたい。



「本当は今すぐにでも追いかけて福岡に行きたか」



とにかく、明日美に会いたくてたまらない。

一週間も離れるなんて我慢できそうにない。

この二ヶ月だって、隣に住んでいてもほぼすれ違いの日々だった。

やっと契約の呪縛から解き放たれたというのに。



「今すぐって!友也くん。明日美の居場所知らんやろ。そいに明日から仕事ばい。無茶な行動して事故でも起こしたらどかんすっと?一時の感情で突っ走ったらダメよ」



確かにな。

感情に流されるなんて、俺らしくない。

じゃあどうしたらいいのか。



「せめて明日美と連絡取りたかけど、電話繋がらんし。明日美、多分携帯の電源切っとる。俺からの電話に出とうなかとかも。明日美と連絡取る方法、他になかですか?」



二人顔を見合わせて、またアイコンタクト。

俺と明日美もこうなれたらいいのに……。



「悪かけどそいは教えられん。俺らに頼らず自分でなんとかせろ。それともうひとつ、お前に言うときたかことのある」



なんだろう?

きっと俺に対するダメ出しだろうな。

今日だったら苦言でもなんでも受け止められそうな気がする。



「友也には友也の考えのあるとやろう。男として自分の理想ば貫きたか気持ちも分からんでもなか。けどな、言葉にして相手に伝えることも大事。明日美はずっとお前からの言葉ば待っとると思うぞ」



俺からの言葉……。



「前にも言うたやろ?明日美の気持ちば無視して結婚ば認める訳にはいかん。順番違うやろうが。先ずは周りから固めて確実性ば狙っとるとかもしれんけど、男らしくなかぞ。真っ正面から明日美にぶつかってみんか」



「真っ正面から……」



俺は大事なものが見えなくなってたんだな。

誰よりも明日美を大事にしてきたつもりだったのに。

俺ひとりで空回りしてたのか。




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