いつも、ずっと。
待ちに待った週末。

当初の予定では、福岡に行くつもりだった。

早く明日美に会いたくて一週間仕事に没頭したんだからな。

しかし、ツテである瀬名と連絡が取れた金曜日の電話では……。



『御子柴が福岡に行ったら生田とすれ違いになっけど、よかとや』



「よか訳なかやろ!明日美帰ってくっとか。そいば早う教えてくれればよかとにが」



一週間くらいとは聞いていたけど、実はもっと長引くような気がしていた。

予想に反して早い帰崎とは、嬉しくない訳がない。



『俺も退院できたし、お前には借りば返さんばし。今度は俺が生田と会えるごとセッティングしてやる』



なんてことを言い出した。

瀬名の世話になるなんてちょっと抵抗あるけど、現状を考えると頼らざるを得ない。

明日美の携帯は何度かけても繋がらないし。

ここまで徹底的に拒否されたのは初めての経験で、正直凹んでいる。


 

「分かった。今の俺が明日美に会おうとするなら、お前に頼るしかなさそうやし。そいで、どうしたらよか?何処に行けば明日美に会える」



『生田とアミュプラザで待ち合わせしとるけん。午後三時、高架広場に来てくれ』



という訳だ。







「友也、明日何時くらいに出発しようか?」



母ちゃんから聞かれてハッとした。

土曜日は母ちゃんたちも福岡のばあちゃんの所に行くから、一緒に行くつもりだったのだった。



「ごめん俺やっぱり福岡行かんけん。二人で行って」



「はあっ?明日美ちゃんはどうすっと!そいに、おばあちゃんも友也に会いたがっとるとに。お父さんも明日は友也の運転で楽チンって言いよったとに」



ばあちゃんには悪かけど、また改めて会いに行くしかない。

父ちゃんには後でごめんって謝っとこう。



「明日美、明日帰ってくるらしか。だけんこっちにおらんばすれ違いになってしまうけん」



「あら……。久しぶりに三人で福岡に泊まりに行くなんて家族旅行みたいだって、楽しみにしとったとに」



俺もたまには親孝行できるかと思ったけど。

でもそれを言うなら、明日美をしっかり捕まえることこそ親孝行の一環だと思う。



「俺の分も福岡楽しんで来てくれよ」



「ふーん……。やっと友也もアレば卒業……」



…………アレって何だよ。





翌日、母ちゃんと父ちゃんは午前中に福岡へ出発した。

俺も時間には余裕をもって行くとしよう。



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