目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「そんな風に思うことないよ?だって、蓮司さんが別荘に連れてきてくれたからこうやって楽しめるんだもん。とても、感謝してますよ?」

「いや、俺はもっと百合のことを学ばなくてはならない」

「学ぶ……?」

「そうだ。何に百合が喜び、悲しみ、怒り楽しく思うのか……その全てを分析しないことには、百合マイスターとして失格だから……」

……『マイスター』は蓮司さんの中で流行ってるんですか!?
心の中でツッコミをいれながら、私の顔はひきつった。
だけど、当の本人はいたって真面目な顔で力説する。

「百合マイスターに俺はなる!」

どこかで聞いたことがあるような、ないような……。
そんなことを考えていると蓮司さんが、私の肩を掴み至近距離で覗き込む。
その近さにアワアワとしていると、隣をカートを押したお婆さんが「ごめんよー」と行って通りすぎた。
瞬間、私達は冷静になる。

「……蓮司さん。ここ、邪魔ですね」

「そうだね……」

「野菜、買っちゃいましょうか?」

「ああ……」

我に返った私達は、目ぼしい野菜をカゴに放り込み、会計を済ませると逃げるように店舗を出た。
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