目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「ブルーベリーのチーズケーキだって!」

と、蓮司さんに詰め寄る。

「う、うん」

「桃のジュレだって!!」

「そうだな……それで……何個買うの?」

もうこの時点で、蓮司さんは二個では済まないことを知っていた、と思う。
取りあえず、全部少しずつ食べたい!という欲望は既に私の理性を侵食している。

「メロンパフェと桃のショートケーキ、ブルーベリーのチーズケーキと桃のジュレ、一個ずつ!」

叫んだ言葉は、カウンター越しの店員にもしっかり聞こえていたらしい。
店員は「かしこまりました!」としっかり頷くと、とても微笑ましいと言うように私達を見た。
ほんの少し前は、イケメンで完璧な蓮司さんと、地味でちんちくりんな私が他人からどう見られるかがとても不安だった。
絶対似合わない気がしていた。
でも、今、こうして彼と過ごしてみると、そこまでおかしくはないんじゃないかと思っている。
単純な掛け合いだったり、バカみたいな冗談を言い合ったりとか、些細なことを繰り返して、笑って怒って……。
夫婦ってこうやって作って行くものじゃないかな?と考えて心が暖かくなっていた。
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