目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「……蓮司さん……お茶、もう一杯どう?」

「ん、ああ。もらうよ。ありがとう」

微笑み続ける彼の表情からは、もう翳りは見つけられなかった。
蓮司さんはいつものように爽やかに、私を見つめる。
三国さんは、相談しなさいって言ったけど、こればかりは聞いても教えてくれないことだとわかる。
聞けば彼はきっと困るから。
なら、思い出すのを待った方がいい。

そう考えて、私は一旦悩み全てを棚に置くことにした。
そして、心のままにケーキを平らげることに専念するのである。
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