目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

花火

「花火!?え、そうなの?」

一応振り返って柾さんにも確認してみると、しっかりと頷いて返された。
地元の人が言ってるなら、ちゃんとした恒例行事よね?
……蓮司さんを疑っているわけじゃないわよ?
ただ、財力にモノを言わせて打ち上げるんじゃないことを確認したまでです。

「山頂の展望台なら特等席で見えるからな。行くだろ?」

「もっ、もちろん!行くわ!」

私は思わず即答した。
だって、あの絶景スポットで花火なんて、とても素晴らしいに決まってる。
その為の浴衣だったんだと、蓮司さんを感謝と尊敬の籠った瞳で熱く見つめた。

「そんなに見つめるなよ。食うぞ?」

「………食う?」

と、私。

「食うぅぅぅ?」

と、変な声を出したのは柾さんだ。

「おいおい。食うって何だよ。僕の前でのろけかよっ!?」

柾さんは苦々しい顔をして大声で叫び、ケッとそっぽを向いた。
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