目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「……どれだけ俺が心配したか……もう、怪我とかしないでくれ……」

ああ、そうか。
また、落ちたりしないように心配してくれてたんだ……。
そう思うと、私の理不尽さなんて何処かに飛んでいった。

「大丈夫よ。もう落ちたりしないし」

「当たり前だっ!!」

抱き寄せられた肩が熱い。
蓮司さんの思いが全て、その手から伝わってきて何だか申し訳なく思う。
と同時に、すごく愛されていたんだと気恥ずかしくなった。

「ごめん。気を付ける」

ボソッと小声で言うと、今度は上からクスッと笑い声が聞こえた。
……ん?ちょっと!?今、怒ってたのに、なんで笑ってるの!?

「謝ってばっかりだな?」

……誰がそうさせたんでしょうか!?やっぱり理不尽だわ!
人を翻弄して楽しんでいる蓮司さんを見上げ、私は精一杯睨み付けた。
別に変顔をしたわけじゃないのに、その顔が彼のツボに嵌まったらしい……。
蓮司さんはお腹を抱えて笑い出し、その声は美しい絶景の中に吸い込まれていった。
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