絶対的Beast

ヤバい……勝手に見たのがバレてしまった。

さっきの優しい笑顔はどこへやら……今の大和先輩は怪しげな笑みを浮かべるだけ。

「ど、どこまで進んでるか確かめただけです！ ……それに、見て悪いものでもないじゃないですか」

「心配しなくてもお前より多く終わらせてるよ」

「ちがっ、そうじゃなくて……」

大和先輩の顔はもういつものポーカーフェイス。

さっきの優しい顔が消えたことで、少し気分が下がってしまった自分を痛感する。

……私、何ガッカリしちゃってるの？

「点検したヤツ被ったら嫌だし……」

そんな自分の心境に戸惑いが隠せない私は、大和先輩と目が合わせきれずに尻すぼみに答えた。

「お前と反対側してるんだから普通に考えて被るわけねーだろ」