絶対的Beast
要求したり、チャラにしたり……ほんと意味わかんない。

彼のポーカーフェイスからはその言葉を意味も、何を考えてるのかも読み取ることは出来なくて……。

この人……一体何考えてるの?

唖然とする私を彼はふっと鼻で笑うと、またあの妖艶な笑みを浮かべた。

「その代わり──────────」

「? ……っ!!」

ードクンッ。

ゆっくりと彼の上半身が私の方へ傾いてくるのに合わせて、窓から差し込む陽の光がチラチラとうごめいた。

そしてあっという間に私は彼の大きな影と柔らかな甘い香りに包まれる。

ードクン……ドクン……。

クラクラしそうなほどの芳香の甘さ。

端正な顔がゆっくり近づけば、不覚にも私の心は激しく脈を打つ。
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