氷点下できみを焦がしたい







「ちょっと永遠、なんで置いていっちゃうの!?」



短いはずなのに息苦しくて、長い時間が終わった。

観覧車が地上について、ドアが開いた瞬間、やっと酸素が吸えたような気がした。

キラキラした夜景がぜんぶ、涙でぼやけて見えた観覧車から降りる。




降りた先には真緒くんと莉緒ちゃんがいて、莉緒ちゃんはやっぱり泣きそうな顔をしていた。

けれど、彼女も私の泣きはらした目を見て驚いたように口をつぐんだ。




「真緒も莉緒も、置いていってごめん。
羽瑠も、ごめん、本当に」



謝る永遠くんと泣いている私に、何もうまくいかなかったことを察した真緒くんが、へらりと笑う。




「じゃあそろそろ暗くなってきたし帰るか!」



私たちもそれに頷く。

 

「なあ、莉緒。話したいことがある」

「え……永遠、なに?」


「帰り、2人だけで帰っていい?」

「うん……わかった」



永遠くんの暗い表情に、莉緒ちゃんの表情もつられて暗くなる。

なにを、話すんだろう。






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