氷点下できみを焦がしたい


「じゃあ、俺たちはここで解散しようか」



真緒くんに言われて、私も頷く。


「ありがとう、またね」


それだけ言って、頑張って笑顔を作ってみんなに手を振る。




帰りの電車に揺られながらも、今日あったいろんな出来事が頭をぐるぐる回る。



苦しかったし、嫉妬もした。

だけど永遠くんの泣きそうな顔が、頭から離れてくれない。



笑ってほしかったのに。
幸せになってほしかったのに。

どうして私が傷つけてるの?



……だけどあそこでキスしたら、私の心が壊れてしまう気がした。



星空の中を回るふたりきりの空間は、もっとロマンチックであるはずなのに。


苦しくて、痛くて、悲しかったから。

だからこそ夜景が、余計に綺麗に見えたような気もした。





< 198 / 246 >

この作品をシェア

pagetop