身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
「君の使っている電車が止まっていたから、帰りに寄ってみたら案の定姿があったから」
お姉ちゃんと最寄り駅が同じことを心底ほっとすると同時に、その優しさに私はまた苦しくなる。
そんなことまでしてもらえる私じゃない。

「ほら、行くよ。……冷えてる」

相変わらずサラリと私の手を取ると、驚いたように言葉を発したあと、私の手を包み込む。

「あったかい…」

つい漏れた言葉を取り消すことができず、私は恥ずかしくなる。
そんな私に、大村さんはつないでいた手をギュッと握りしめてくれる。その温もりを逃がしたくなくて私も握り返した。

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