身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
なんとか大きなスエットを折り曲げたりして着ると、私はこっそりとリビングの扉を開けた。
「ありがとうございました……」
きれいなモデルルームのようなリビングから夜景が広がる。
大きな窓の外は相変わらず雪が舞い落ちていた。
「すごい雪……」
呟くように言った私は、ちらりと大村さんを見る。
キッチンに立っていることがわかり、私は慌ててそちらへと向かった。
「あの……なにかお手伝いを……」
そこまで言ったところで、タッパを持って立ちすくむ大村さんがいて驚いて見上げた。
「どうしたんですか?」
「嫌……夕飯を作ろうかと思ったけど、どうしていいかわからなくて」
苦笑しながら少し表情を歪めた大村さんに、私はキョトンとした瞳を向けていたのだろう。
「ごめん」
「え?」
呟くように謝った大村さんに、私は慌てて首を振ると笑顔を向けた。
「違うんです、少し安心したんです」
「安心?」
その答えが意外だったのか、大村さんは表情を緩めた。
「大村さん、なんでもできる完ぺきなイメージだったので、私なんかと結婚するメリットなんて何もないのかもって……」
そこまで言ってから、自分が結婚に向けて前向きであるような発言をしてしまったことに気づいた。