身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
心の中で呟いたつもりだったが、声になっていたようだった。
クスリと笑い、いつも通りの声のトーンの悠人さんにズキンと胸が痛む。

「さあいいよ。寝るよ」
私の返事を聞かず、悠人さんは私を自分の寝室へと連れて行くと、いつも通り後ろから私を抱きしめる。

この腕の中が当たり前になってしまう前に、私は消えなければいけない。
手遅れになる前に。
明日、明日はきっと本当のことを話そう。
私はそう思いながら、窓の外を見つめた。


あ……れ?
自分の身体の異変に気付いて目を開けると、目の前に悠人さんの顔が見えた。
「気分は?」
笑顔はなく、少し険しいその表情に不安になりつつも、その言葉の意味がわかなかった私は、問いかけようとしてハッとする。

声が出ない。

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