見ツケテ…
やっぱり、妊娠を理由に俺と一緒になれると思っていたのだろう。


「俺は認知しない」


ハッキリとそう言ってやるが、友江はそれでも俺の足を離さなかった。


絶対に離すまいとするように、きつくきつく握りしめて来る。


その状態で、恨めしそうな表情で俺を睨み付けて来るのだ。


あれだけ魅力的で、何度も抱いた友江が急に醜く感じられた。


こんな女の一体なにが良くて声をかけたのか、自分でもわからなくなった。


同時に、ほんの少し存在していた後ろめたさが一瞬にして吹き飛んでいた。


俺は友江の体を思いっきり蹴り飛ばした。


友江がうめき声をあげて吹き飛び、背中を棚にぶつけて止まった。


「なんで……こんなことするの!?」


お腹を庇いながら俺を睨み付けて来る友江。


「なんで? それはこっちのセリフだろ。なんでこのタイミングで妊娠なんてするんだよ」


俺はそう言いながらジリジリとと友江に近づいた。


友江が一瞬怯えた表情を見せる。


しかし、ここで負けてはいけないと思っているのか、俺から目を逸らそうとはしなかった。
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