毒薬にキス



声が出しにくかったのは、そのわけは……。



「今日で終わりだね」



私が本音を、「死にたい」と話す度に、涙してくれた彼。私も、泣いた。何度も、泣いた。



「……死ぬのは、良くないよ」

最期に、とばかりに、彼が呟く。



私はもう、この場を去るつもりだった。ベンチから立ち上がり、彼に背を向けていたのに。

……どうして、呼び止めるの。



彼が、私の腕を掴もうとしたのがみえた。……だけど、私の手に触れる寸前、ひっこめる。


< 10 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop