毒薬にキス



だけど、私が死ぬからこいつも死ぬというのは、嫌なのだ。



『死なせない』と何度も言ってくれた彼は、何度も私にキスをして、私の存在を求めた。

存在していいよ、というように。



本音をひと通り告げて、すっきりしつつある私。

彼は、そんな私の心情に気づいているはず。

だから、いま、私が死ぬとしたら……彼のせいなのだ。



「目の前で死ぬのは、やめてね」

「うん、多分」



「ほんとは、死なないでほしい」

「そ……っか」


< 9 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop