愛され秘書の結婚事情
「ではやはり会長は、この結婚には反対なさって……」
「え? 反対なんてしてないよ?」
悠臣はキョトンとした顔で七緒を見て、「むしろメチャクチャ喜んでたよ?」と信じられない発言をした。
「君のことは入社当時から見込みがあるって思ってたって。彼女を選ぶなんてお前はなかなか目が高いって褒められたし、結婚式を挙げる時は俺が乾杯の音頭を取ってやるって、今から仲人気取りだったし」
「え……え?」
「君が結婚後も仕事を続けたいなら、とりあえず会社では今の名前のまま働けばいいって。僕の下がいいなら、そのまま常務秘書をすればいいって言ってたよ。あと他の幹部には、今週末にある食事会で会長から報告してくれるって。まああの人が言ってくれたら、他の幹部達も文句は言わないでしょ」
予想もしなかったその返事に、七緒は驚くのを通り越して呆然とした。
「え……。ではなぜ常務は、そんな落ち込んだご様子で……」