愛され秘書の結婚事情

「……それはもう、決定事項なの」

 七緒は顔を上げ、ふっと表情を緩めた。

「そうですね。明日明後日にでも、花婿が空から降って来ない限りは、決定事項です」

「…………」

 悠臣はそこで、むっつりと黙り込んだ。

 七緒も喋ることを止め、食事に専念した。

 けれど言いにくい話をして心が軽くなるはずが、悠臣に自身の恥ずかしい内情を明かしたことで、心は今朝より暗く沈み、極上のソースがかかった旬の鰆も、さっきまでのように味わうことは出来なかった。
< 27 / 299 >

この作品をシェア

pagetop