愛され秘書の結婚事情

「昨日貸したハンカチも、月曜日に返してくれるんだったね」

「はい」

 そこで悠臣は、七緒が手に持つ今日貸したハンカチを見て、それを指差した。

「とりあえずそのハンカチも、返すのは月曜日でいいからね」

「はい」と答えて、七緒はニッコリ笑った。

 今日はどう頑張っても返事はもらえない、と察した悠臣は、「あーあ」と気の抜けた顔で伸びをした。

「本当に、清水の大舞台から飛び降りる覚悟で来たのになぁ……。保留にされるとか、肩透かしを食らった気分だよ」

「申し訳ございません」

 七緒が秘書の顔で頭を下げると、悠臣は拗ねた顔のまま、「……いいけど」と呟いた。
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