同じ日が暮れて、違う星が落ちる
私はこの駅を知っている。

考え事をしていたら目的の駅を通りすぎてしまっていて、導かれるようにこの駅に降り立った。
折り返すべきか一瞬だけ考えて、もう用事には間に合わないと判断して改札を抜けた。


私の家の最寄り駅から快速電車で五つ目の小さな駅。
おそらく普通に生活していたら降りないだろう、この閑散とした駅を何度か訪れたことがある。

一年ぶりの景色に胸が痛くなるのは、懐かしさのせいだけではないと分かっていた。


私は慣れた足取りで改札を出て左に曲がり、階段を軽快に駆け降りる。
日が暮れてきて、夕陽が無機質なアスファルトもすれ違う人も全てオレンジ色に染める。
あたたかいな、と感じる自分がいた。


『なんでだろう。誰とも話してないのに皆オレンジ色に染まってるだけで、皆あたたかく感じるんだよな。って、いや、あの、恥ずかしいから忘れて』


彼の声が脳内再生されて、照れ笑いを浮かべた横顔を思い出す。

『忘れないよ、私もそう思うよ』

あの時、きっと友達にも言わないようなことを話してくれているんだろうなと思った。


駅の外に出て、そのまま道なりに歩く。

目的地はここから見えないけれど、そこに何があるかは覚えている。
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