社長の溺愛にとかされて
「食事行かないか?」

慎也にいきなり話しかけられて、一瞬何を言われているのか、
分からなかった。

多分ポカンとした顔をしていたのだろう、
そんな私に微笑みかけ、慎也が続ける。

「今後の土曜、時間ある?」

やっと回転し始めた頭で、意味をかみしめる。

食事のお誘い?

私が振ってから、何もないように振舞っていたので、
いきなりの行動に戸惑う。

でも同時に嬉しさがこみ上げてきて、
やっぱり慎也の事好きなんだと自覚する。

「どう?」

重ねて聞かれ、はっとなる。

「あ、うん、大丈夫・・じゃない、大丈夫です」

オフィスだと気付き、あわてて敬語に直した私に、
相変わらず優しい笑みを浮かべたまま、

「また、ラインする」

と言って、慎也は私から離れて行った。
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