社長の溺愛にとかされて
夕方5時ぐらいにスマホが鳴り、慎也からであわてて出る。

「玲緒奈、あと20分程でそっちに着く」

「分かった、今日は車?」

お酒を飲むのか気になって聞いてみた。

「いや、タクシーで向かっている」

どうやらお酒を飲むようだ。

ワンピースはもちろんの事、メイクまでばっちり準備万端な私は、
ゆっくりと慎也の声を聞く。

「そっち着いたら、また電話するよ」

「うん」

「楽しみ?」

「もちろんアルシェンヌのディナーだよ、最高級に決まってるもの!」

「ハードル高いな」

「大丈夫でしょ」

そう言ってくすくす笑う。

振ったはずの相手なのに、何事もなかったかのように、
普通に話できるのが不思議。

この調子なら、今日のディナーは楽しめそう。
これから先に待つ時間に、期待を膨らませていた。
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