社長の溺愛にとかされて
溶けていく心
9月に入り、まだ残暑はあるものの、夕方から羽織り物の一つも
欲しくなってきた。

慎也との恋人期間は順調で、
1人の時、慎也が忙しくて電話に出ない時など、
不安に襲われる時もあるが、その時はアルシェンヌでもらった婚姻届を眺める。
慎也の文字を見ると、不思議と気持ちがすーっと落ち着いて、
何かの魔力でもあるんじゃないかと思うぐらい効果がある。

恋愛なんて、もう無理かもと、どこか諦めていたのに、
今、慎也といて本当に幸せで、
過去の恋愛も、最後は本当につらかったけど、
それまで、確かに幸せな時間もあったと、やっと思い出せた。

あの時は先輩が中心で、全部で、自分を見失っていたけれど。
今の自分は仕事もして、自分の生活、気持ちがはっきりしていて、
慎也に振り回されると言うより、慎也が私のペースに合わせて
くれていると感じている。

無理をするでもなく、穏やかに、優しく、ただ愛情に包まれる日々。

そんな日常が、私の心を穏やかにして、
愛情に近い恋ってこんなのかな?と思っていた。
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