社長の溺愛にとかされて
「うっわー すごい人」

どこからこんなに人が出て来たのかというぐらいの人、
何とか前には進めるが、ゆっくりとしか前進しない。

急ぐ必要もないので、人の並みに歩調を合わせ、境内に向かう。

真っ赤な大きな鳥居とくぐり、慎也が軽く礼をしているのを見て、
私もあわてて、礼をした。

「手水していく?」

「ああ」

慎也と手水舍に向かうと小さな龍の口から水が出ている。
前に手水をしてる人から、柄杓を受け取った。

「手水の仕方って」

「そこに書いてあるよ」

その言葉で上を見ると、確かに木の看板に、手水の仕方が書いてあった。

「えっと、まず右手で柄杓を取り・・・って、
 先の人から譲ってもらったんだけど、右手で受け取ったからいいよね」

「いいんじゃないか」
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