社長の溺愛にとかされて
「次に水をすくい、左手にかけると」

書いてあるように、龍の口から水を柄杓に入れ、左手にかける。
今度は柄杓を左手に持ち替え、右手にかける。

両手の手を清めた後、看板を読んで迷う。

「水・・・飲むんだ」

柄杓は先ほど他の人が使用した物。

少し迷った後、ほんの少しだけ水を入れて、
あまり柄杓に口が付かないようにと考える。

「水を飲む時、大切なのは、体を清められるイメージを持つ事、
 淡々と飲んでたら、意味ないそうだぞ」

慎也の言葉に、ここは神社なんだからと思い直し、
柄杓が口にあまりつかないようには変わらないものの、
清められますように、と心の中で思いながら、一気に水を飲んだ。

その後、柄杓を立てるようにして、柄を洗い、慎也に渡した。

慎也は何も気にする事なく、看板通り手水を終え、水を口に含む。

前の人が口を付けた柄杓を口にするのは抵抗があったけど、
慎也が私の使った柄杓に口を付けるのを見ても、何も抵抗がない、
やっぱり、他の人と慎也は違うんだ、そう意識した。
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