太陽に抱かれて
第二章

第一話


 ももは、船に乗っていた。
 行き先は決まっている。きっと鉄鋼でできていて、それなりに頑丈で、多少の波にはものともしない。ゆっくりと目的地に向けて、海原を進んでいくはずだった。

 ——ももは、やさしいね
 ——ももちゃんって、頼りになるなあ
 ——伊賀利(いがり)さんは、偉いわね
 ——ももがいてくれて、よかったよ

 ——ももじゃなきゃ、アイツダメだと思う
 ——ももちゃん逃したら、あの子、結婚できへんで
 ——わかってるって、ももはほんまにええ女やって


 ——ごめん、ももに甘えてたんやな


 そう、あの時までは。

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