ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



この日もいつものようにプレーの確認をして、いつものようにボールを追いかけていた蒼井。


そんないつもと変わらなかった彼女が


「綾!!!!!無理に動くなよ。」

「・・・諒、兄ぃ・・・・」

「とりあえず、保健室に運ぶぞ。」


この日を境にコートから姿を消すことになった。
突然の足の怪我で。



「確かバレー部も明日、大会ですよね?練習続けて下さい。」

体育館内の隣のエリアで練習していたバスケ部の顧問の稲葉先生に抱きかかえられて。


「稲葉さ」

「俺が・・・連れていきますから。練習続けて下さい。」


入江先生の声を遮った稲葉先生はいつになく険しい表情で。
腕の中にいる蒼井を大切そうに抱えたまま彼は
あたしたちと入江先生に背を向けた。

目を閉じ、唇を噛むことを隠せないまま蒼井と稲葉先生の後ろ姿を見送る入江先生。

彼のその姿は、見ているこっちの胸が痛んだ。





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