ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



「ほ~、そうですか。親友さんとその彼女さんのこと、大切にされているんですね。」

人生経験の差なのか
この時、はじめてこの店員さんとあたしの感覚に温度差が見られた。


「・・・・ええ。なんせ不器用なふたりなんで。ちょっとでも手助けしてやりたくて。」

照れくさそうな入江先生。


あたし、泣きそう
自分がこのドレスを着れなくなったからではなく
入江先生のこの優しさに・・・・


っていうか
このドレス
蒼井のじゃないんだ・・・



そういえば蒼井は
あたしより5cm背が低いんじゃなくて
あたしより背が高かった。

っていうか
入江先生は蒼井がバレー部を辞めてから
彼女と会ってるはずないと思うし・・・

どういう状況かよくわからないけれど
でもなんかじーんときた


「で、こちらの彼女を連れてこられたってことは、こちらの方も信頼されているんですね?」

こちらの方ってあたし・・・?
っていうか
あたしはただ、
“入江先生の親友さんの彼女さんのモデル・・プラス5センチな人” ってだけで・・・・



「・・・ええ。」

そう答えた入江先生の優しい微笑み。


「きっと彼女なら、自分を上手く手伝ってくれる・・・そう思ったんで。」


更にそう付け加えた入江先生に
あたしは完全にオチた。

いつもの・・・数学が苦手な迷える子羊達(生徒達)を誘うわかりやすい微分積分ワールドではなく
私の知らなかった入江先生の魅力満載のプライベートな世界に・・・・。

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