ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



でもきっと今日という日は
入江先生にとっても特別な日

彼にとって大切な人達であろう
日詠さんと伶菜さんが
人生をともに歩み始めるのを見届けたという大切な日

だから泣く訳にはいかない


もともと叶わないはずの恋
わかっているけれど
それを、時を経た今
また改めて思い知らされてしまったことで

『一歩、進んだと思ったのになぁ』

あたしの心の声が
自分の意思とは反し、音声になって現れてしまった。


極端な言い方かもしれないけれど
あたしにとってそれは残酷な声

でもそれは
入江先生の耳にもちゃんと届いてしまっていたようだった。


「ちゃんと進んでいたみたいだ・・蒼井は・・な。」


ただ、それは私自身の一歩ではなく
蒼井の一歩という意味にすり替わってしまっていたけれど。



< 48 / 202 >

この作品をシェア

pagetop