お助け部ッ☆
「「………。」」
通されたのは、ホテルのスウィートルーム。
そこには……きらびやかに輝く、何着もの…ドレス。
さっきロビーで見た美女たちが着ていたものに、劣らない華やかさ。
他にも、メイク道具やウィッグまで取り揃えている。
「恭介、帰るぞ」
「うん」
「待って待ってぇ〜!!」
出ていこうとした俺たちの前に立ちはだかって、行く手をふさぐ……美少女。
金色のパーマのかかった髪に、緑色の瞳。白くてふわふわで、腰の辺りに黒い大きなリボンのついたワンピースを着ている。
頭につけたカチューシャには、腰についているリボンに似た大きなレースリボンがついていた。
すごく可愛い。守ってあげたくなるような女の子。
でも、それは守りたくなるだけであって。実際彼女は俺より強くて。っつかまず彼女ではなくて。
何が言いたいかって、そりゃあ…
「何してるんですか?……莉央さん」
目の前にいる若頭を…女装した組の長を……可愛いなって思ってしまう自分が悲しくて。
なんか頭ん中ごっちゃごちゃだわ、俺。
ちらっと兄貴を見てみると……
あれっ?意外と冷静…?
「いいか、恭介」
「え?」
兄貴がため息をつきながらこめかみを押さえた。
「…はめられた」
「はっ?」
誰が、誰に?
俺と兄貴が…莉央さんと大和さんに…?
「イベントは…ファッションショーとか、そのあたり。たぶん人数の関係で、俺らは助っ人に呼ばれたんだ。しかも…スタッフとか、裏方じゃなくて……モデルの方で」
兄貴が睨むように莉央さんを見ると、
「え、えへ?せいかーいっ」
少々戸惑い気味に笑った。
その姿すら様になってて、莉央さんが女の子にしか見えない俺。
でもだからって、はいそうですか〜なんて言えない。
だってこれ、俺らに女装しろって言ってるんでしょ?