蜂蜜のような君に、恋をした



『青山協会前〜、青山協会前です』


アナウンスが流れると同時にドアが開く

「じゃーな」

ああ、先輩がいってしまう

「先輩!」

「ん?」

先輩が振り向く
意味もなくとっさに呼んでしまった自分に自分自身がお驚く
どうしよう、どうしよう


「あ、えっと、これ!」


私はさっき間違えて買ってしまったコーヒーを鞄から取り出し先輩の前に勢いよく差し出す
先輩は少し驚きながら勢いに押され受け取る


「さっき間違えて買っちゃって。でも私コーヒー飲めなくて、よかったら…どうぞ!」


言い終わると同時に扉が閉まり始める

「ふっ、ありがとう」

お礼の言葉を最後にドアが完全に閉まる
私はぺこっとお辞儀をすると先輩は軽く手をあげて口パクで『またな』、そう言った

やめてくださいよ
次もあるんじゃないかと期待しちゃうじゃないですか


でも、もし次もお話しできる機会があるなら…嬉しいな…



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