「好きだよ、まゆり」
バイトが始まった。

幸いにもお客さんは少ない。

真由理くんはなるべく私をかばうように接客を中心にしてくれている。


「あの、学校でなんかありましたか?」


バレー部の事情を知っているせいか。

心配そうに聞いてくれた。

私は首を振る。


「じゃあ、どうしたんスか?」

「………」

「なんか……辰己さんっていつも楽しそうだから、そんな風にされた心配っス」


楽しそう?

私って楽しそうだったのか。


リアルなんてクソだって。毎日つまらないって。

そう思っていたのに。


でもそれでも楽しそうに見えていたのは。

まゆりのことばかり考えていたから。

まゆりのおかげだ。


「うっ、うううーー」


私はレジだというのに泣き出した。

真由理くんがギョッとする。


「た、辰己さん?大丈夫っすか?」

「まゆりが……まゆりがいなくなっちゃったー……」

「え、マユリ?古市?」

「ちがうーーー」


私は泣いた。

わんわん泣いた。

そして、その勢いで真由理くんに全部話した。

私の大好きなまゆりのことを。

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