「好きだよ、まゆり」
真由理くんは小さく笑った。

クスッと笑い声がもれる。


「……でも、俺がマユリの頑張りに励まされたのは事実で、それは嘘でもなんでもなくて真実なんで。

だからそれでいーんじゃないかって思うんス」

「………」

「辰己さんもそうじゃないですか?」

「わたし…も…?」

「確かにゲームのキャラって現実にはいないかもしんないけど、辰己さんがそのキャラのおかげで元気になったりしたのは本当でしょう。だから……うーん、うまく言えないっスけど」


小さく首を傾げてから、真由理くんは私を見る。


「そのゲームで現実の辰己さんが元気になるなら、あなたにとってはそれも現実のひとつなんですよ……きっと。だから、それでいいんです」

「…………」


私にとって現実のひとつ。

その言葉がストンと入ってくる。

私の中に。こころに。


私はずっとゲームに逃げていたと思っていて

まゆりのこと大好きだったけど、胸を張って誰かに言ったりはできなかった。


でも。

落ち込んでいた私がまゆりに出会って

不満一杯でも学校に毎日行ったり、バイトを始めたり、こうして自分の内部を少し深く話せたり。

それはゲームに支えられながらも、現実を生きられていたということなのかもしれない。


まゆりのおかげで。

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