「好きだよ、まゆり」
「……うっ」


また私の目から涙がこぼれた。


「辰己さん、大丈夫っスか?なんかすみません。偉そうなこと言って……」

「ううん。ありがとう。私、うれしい。すっきりしたっていうか……」


所詮ゲームのデータでしかないまゆりは、もうどこにもいない。

そもそも現実に存在すらしなかったのだし。

だけど、まゆりに出会い、確かに救われて支えられた私はこうして現実にいる。

あの日から、今も。

ならまゆりも現実のひとつ。

少なくとも私という存在の中では。


「あー、私まゆりに出会えて良かった。これからもずっと好き。まゆり大好き」

「わかります、そういうの」


真由理くんが深くうなずく。

普段と同じように無表情だけど、その目には熱がこもっていた。


「……ちなみに、ね。真由理くんの好きな古市マユリさんはどんな人なの?ごめんね、私あんまり芸能人詳しくなくてさ」

「どんなって……言葉で説明すんの難しいっスね。……辰己さんさえよければDVDとか貸しますけど」

「えっ、いいの?大事なものなんじゃないの」

「問題ないっス。同じの最低二本は持ってるんで」


やっぱりすごいガチだこの人。


うーん。DVDかあ。

失礼ながらアイドルとか本当に興味ないんだけど。


……でも

< 23 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop