死者の闇〜最期のメッセージ〜
福山美里が優しくそう言い、藍を抱きしめる。藍の唇は小刻みに震え、解剖室で青磁の骨を抱きしめた時のように藍はまた泣き出した。

「ず、ずっと……ずっと待っていたのに!やくそ……約束!ま、守りたくて!おに……いちゃん……が、……私に夢、与えてくれたのに!!」

人は、近くにいる誰かを失ったことで、初めてその人の存在の大切さに気付くことがある。藍も同じだった。青磁の行方がわからなくなり、そして変わり果てた姿で再開した時、初めて気付いたのだ。

青磁のことを、ずっと愛していたということをーーー……。



泣き続けた藍の化粧は取れ、ワンピースには涙によってシミができてしまっていた。

「すみません、クリーニングしてお返しします」

何十分も泣き続け、ようやく心が落ち着いた藍がそう言うと、「別にいいよ〜」と福山美里は笑う。

「それ、藍ちゃんにあげる。私には似合わないから」

「すみません。私、多くの人に心配とご迷惑をかけてばかりですね」

「しょうがないよ。誰だって、大切な人があんな風になったってわかったらこうなっちゃうよ」

「すみません……」
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