アンティーク

「将生さん、汗かいてますね。このハンカチ、使ってください」

将生に言う玲奈さんの言葉を聞いて、今日初めてそのことに気がつく。

いろいろと、考え事をしていたせいだろうか。

「いいの?ありがとう」

「はいっ」

嬉しそうな眼差しで将生を見る玲奈さんの光景が、何故だか俺の胸を締め付けた。

どうしてだろう。

今まで、一度も思ったことがなかった、将生が羨ましいだなんてこと。

なのに、今はその感情で支配されてしまっている。

将生は、俺のことを理解してくれる大切な友人なのに。

「レオ?」

将生が俺の名前を呼ぶ。

「ごめん、ちょっとぼーっとしてた」

だけど、将生の顔を見ることができない。

「レオさん、具合でも悪いんですか? 今日暑いし」

「大丈夫だよ、ありがとう、心配してくれて」

玲奈さんは、よかった、と安心そうな顔を向けてくれる。

そんな彼女を見て、心の中に渦巻いているもやもやが少しだけ晴れた気がした。
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