アンティーク
「おはよう、将生」
「おはよう」
将生は、前を向いてぼーっとしながら俺の挨拶に返事する。
いつの間にか、夏は過ぎて秋が訪れる。
この前アンティーク店から見えた赤になりかけていた葉は、すっかりその色を赤一色に染めていた。
あの日から、玲奈さんには一度も会っていない。
あれから、彼女が一度もアンティークショップに来ることはなかった。
「朝から授業って辛いよな」
ようやく、将生はその口を開けてため息を1つつく。
その声は、気怠そうだ。
「そうだね、まだ眠い」
水曜日の1コマにある必修の授業。
授業は教授が時間を自由に決めていいはずなのに、どうして、こんな朝早くを選ぶんだろうと思わずにはいられない。
「水曜日はこれだけだし、頑張ろう」
「ああ、そうだな」