Little Gang
「そう信じなきゃ立っていられないから、今も僕は、自分のためにここにいる」
『裁かれるのを望んでるの?』
「・・・そうかも」
その答えを聞いて、私はハアと息をついた。
『君がお姉さんの痛みを理解できなかったように、きっと誰にも・・・他人の傷なんて、本当の意味で理解することはできない。 Roseliaが君のお姉さんを殺したわけじゃないよ。 それでも、この哀しみを生み出したのは・・・。 私は・・・ハルカくんを切り捨てでも目的を果たしたいと願う気持ちを、止められない』
「君も・・・壊れてるね」
ハルカくんはゆっくり息を吐きながら、小さな声で言った。
『悩むのは心が死んでない証拠だよ。 私は・・・怪物だから迷わない』
その言葉にハルカくんは眉根を寄せ、探るような目で見上げた。
「ーーーたとえ怪物だとしても、誰かの哀しみに寄り添えてる。 僕は、染谷さんのためなら全てを壊すよ。 君を救う唯一の方法だとしても死んで楽になりたいとか許さないからね・・?」
天才高校生の名推理通り、私はみんなに裁かれることを望んでいる。
でも、ハルカくんは突き放した。
『私は君のお姉さんじゃないよ』
にこっと笑って言ったら、物凄く不満げな顔された。
ま、いいや。
理解されたいとも思わないし。
ハルカくんは、立ち上がって私を見下ろす。
「ーーー泣いたって今の状況が変わるわけじゃない。 泣くと気持ちは楽になる。 姉さんも泣かなかった。 だけど不安や不満は溜め込むより、吐き出して誰かに哀しみのおすそわけしなよ」
私がきょとんとした目で見るから、ハルカくんは「つまり僕に甘えたらいいってこと」って言って私の額を中指で弾いた。
ハルカくんのその言葉が、どれだけ私の心を震わせたのか。
きっと、それは誰にも分からない。
「側においで」
『・・・本当にいいの?』
「いいよ。 ここは君専用だから」
涙が出てきたのは、気が弛んだからだ。
本当は、もう壊れる寸前だった。
哀しみの声に寄り添うのは、疲れたから。
嗚咽は耐えたけど涙は溢れて止まらない。
私は顔を手で覆い隠した。