Little Gang
兄妹の確執
その後、私はべったべたに甘え、ハルカくんはげんなりしてた。
本当は増悪と後悔にまみれた過去の夢に心が波立って眠れない夜が続いてたから、抱き枕よろしく添い寝しようと思ったけど、彼女じゃないしガキっぽくてやめた。
それに自分から部屋に招き入れる特別扱いをして長時間一緒にいると誤解されるし。
この日はもう甘えて構うだけにした。
ユダの調査を始めてから、数日。
下っぱや幹部を調査した結果、裏切り者と思わしき人物は見つからなかった。
兄さんに報告を終えると、兄さんは最初からそれを理解してたような口ぶりで「だろうな」と頷く。
私やハルカくんの企みなんて、とっくに暴かれてるだろうな。
これでは意味がない。
全ては形ある希望のために。 私は、改めて計画を練り直すことにした。
『失礼します』
・・・・・。
相変わらず、静かな場所だ。
ここだけ現実から隔絶されてるような・・・。
当たり前か・・・。
兄さんはRoseliaの象徴だもん。
加入してたかが3ヶ月の私が謁見を許されてるのは、ある種の特別扱い・・・いや、彼女扱いだろうけど。
・・・そんなことより、兄さんは?
姿が見えないけど・・・。
『兄さ・・・アンリ、いないの?』
この時間はいつもいるはずだけど、今日は自室にいるのかな。
うん、不在なら出直そう。
「・・・もう1回、アンコール・・・」
『え?』
今の、兄さんの声・・・あ。
『寝てる・・・?』
イカサマのロシアンゲームするような場所で、椅子に寝転がるあたり、この人らしい。
負けたら借金。
勝ったら賞金数億円の大儲け。
決められた期限までに借金を全額返済できなかった場合は・・・即死刑。
・・・私は参加するのかって?
小遣い稼ぎにはいいけど、三流レベルの騙し合いばかりでつまらない。
ギャンブル?
そんなもの、2日で興醒め。