続・政略結婚は純愛のように
 けれどそれは、ただの自己満足だったのではないだろうか。
 由梨を守らなくてはいけない弱い存在だと決めつけて、自分の中に閉じ込めて、それで満たされるのは由梨の心ではなく自分の独占欲だ。
 ひとりよがりな付き合いは、マリアという一人の女性を傷つけた。
 償いもできないままに彼女は行ってしまう。
 けれど同じ過ちを、もう二度と繰り返したくはない。
 由梨だけは、由梨だけは失うわけにはいかないのだから。
 車窓から見る東京の街は今年一番の寒さだという。
 雪がひらひらと舞い落ちて、イルミネーションを雪景色に変えてゆく。
 由梨に会いたい。
 会って、ただ抱きしめたい。
 あのふんわりと柔らかい微笑みを見ることができたら、それだけでいい。
 隆之がゆっくりと瞳を閉じた時、タクシーが指定したホテルに到着した。
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