続・政略結婚は純愛のように
 なおも抗議する由梨の頭に、隆之はキスを落とす。
 そして互いの香りが混ざり合うくらいの距離で見つめると、彼女は困ったように口をつぐんだ。
 隆之がこうやってじっと見つめると、いつも由梨は雪兎のように目を潤ませで動きを止める。
 それが何故かは知らないが、その瞳はより一層隆之を欲情させるのだ。

「…それでも…あんなこと言って。隆之さんの立場が悪くなりませんか。」

勢いをなくした由梨はぽつりと呟くように言って、上目遣いに隆之を見る。

「こういうことに、社長も社員もないだろう。しっかりと釘を刺しておかないと。黒瀬は馬鹿な男じゃない、それくらいわかっているよ。」

隆之の言葉に少しだけ安堵した由梨の手を取って隆之はエレベーターのボタンを押した。

「由梨、部屋へ行こう。」
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