続・政略結婚は純愛のように
「隆之さん、今度のことで私いろいろ考えさせられました。…私、今井の家では雑草だとか地味だとか言われて育ったんです。…こっちに来てからはそんなこと言う人はいないけど、それでもどこかでいつも自信がなくて…なんだか自分だけが辛いような、そんな気になってたんです。…でも、そんなことは多分なくて…みんな大なり小なり何かを抱えているんだわ。それでも大切なものを守りたければそのまんまそこで強くなるしかないの、みんなそうやって頑張ってるの、…私だけじゃないんだわ。」

少し瞳を潤ませて由梨は力強く言った。
 隆之がそんな由梨の頬にキスをした。
 そしてアーモンド色の瞳を優しく緩ませて微笑んだ。

「俺は由梨のそういうところに惹かれたんだ。」

「…え?」

「由梨は躓いても、悩んでも、挫けそうになっても、いつもその綺麗なままの澄んだ瞳で前を見続けている。…俺はそんな君が愛おしくてたまらない。」

そう言って隆之は由梨の頬に、瞳に、耳に、ちゅっちゅっと音を立てて何度も口づけた。
隆之の熱い唇が由梨の肌を刺激するたびに、由梨の体がぴくんと跳ねてお湯がパシャンと鳴った。
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