続・政略結婚は純愛のように
「…自分の趣味だけで、すみません。」

ガイドブックを手に黙りこんだ隆之に由梨はだんだんと心配になって言った。
 二人で出かけること自体ほとんど初めてだというのに、自分の趣味を押し付けようとする由梨に呆れただろうか。
 それとも本当は酒の話などどうでもよいと思っていて、これ以上付き合わせるつもりかと嫌になった?

「うーん、ここだと少し遠いな。…でも観光地だし…。由梨、一泊するか。」
 
「本当に?!嬉しい!」

由梨は目を輝かせる。
 
「でもそんなに急にいけるものなのですか?」

「県内だしね、なんとかなると思う。今日は行くだけにして酒造は明日にしようか。」

由梨は飛び上がらんばかりに喜んだ。

「旅行なんて短大の卒業旅行以来です!!」
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